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エカワ珈琲店の出来事 和歌山市にて自家焙煎コーヒー豆の小売販売店を営むエカワ珈琲店の雑記帳 2011-09-03 コーヒーロースティング(Coffee Roasting)のコツ 珈琲論 芳香族化合物に酸、それにフレーバーを構成するその他の成分が、加熱によって新しく現れたり、加熱によって新しく現れた成分とコーヒー生豆にもともと含まれていた既存の成分との間で複雑な化学反応が発生したりと、色々な化学反応が入り乱れて発生するプロセス、それが、コーヒー豆のロースティング(コーヒー豆の焙煎)です。 コーヒー豆の焙煎職人は、自分が理想とするコーヒーのボディー、後味、酸味、風味の基準を持っています。 ある意味では、コーヒー豆の焙煎(Coffee Roasting)とは、コーヒー豆焙煎職人の理想を達成するための化学的なプロセスなのかもしれません。 コーヒー豆の焙煎については、人それぞれ、様々な考え方があるみたいです。 たとえば、ニューヨークのMartin's Griffin社で出版された『Home Coffee Roasting: Romance and Revival(Davids, K. 1996)』の著者、デイビッズさんのコーヒーロースティングについての考え方は、以下のとおりです。 コーヒー豆の焙煎プロセスは、まず、吸熱反応から始まります。 緑色をしたコーヒー生豆から、焙煎による加熱によってコーヒー豆の水分が除かれ、徐々に黄色くなって行きます。 少し青臭い匂いのしていたコーヒー生豆から、トーストやポップコーンのような匂いが漂い始めます。 続いて、次のステップ(段階)です。 コーヒー豆が約205度Cくらいの温度となると、ゆっくりとパチパチという音が聞こえてきます。 これが、1ハゼです。この1ハゼによって、コーヒー豆が生豆のときの倍近くまで膨らみます。 コーヒー豆の色はライトブラウンになっていて、ゆっくりと褐色が濃くなって行きます。 コーヒー豆は、焙煎による熱分解(有機物は分解すると水と炭酸ガスになります)によって生じた水分や揮発性成分を失って、重量は約5%軽くなっています。 このステップでのコーヒー豆の色は、アグトロン(Agtron)ナンパーの#95〜90に対応しています。 これ以後も、コーヒー豆は充分な熱量の吸収を続け、焙煎プロセスは急テンポで進行して行きます。 そして、発熱反応による2ハゼが始まります。 この熱分解は、225度〜230度の間で発生します。 この時点でのコーヒー豆の色は、ミディアム・ダーク・ブラウン(アグトロンナンバー、#50〜45に対応)になっています。 2ハゼの音は、1ハゼの音よりも間隔が短くて回数が多くスピーディーです。 デイビッズさんの著書『Coffee Roasting: Romance and Revival』からの要約は以上ですが、間違って解釈している可能性もあるので注意してください。 続いて、エスプレッソコーヒーを淹れるのに、最も適しているコーヒー豆の焙煎について、英文サイト『coffeeresearch.org/coffee roasting』の記事をエカワ珈琲店流に要約させて頂きます。 コーヒーの甘味と香りが最大化して、苦味と酸味が最小化した焙煎コーヒー豆を使ってエスプレッソコーヒーを淹れたとき、最も美味しいエスプレッソコーヒーが出来上がります。 苦味を強くして酸味を少なくすることだけを目的としてコーヒー豆を焙煎すると、極端なダークロースト(超深煎り)のコーヒー豆を作ってしまいます。 そうすると、甘味と香りを失ってしまいます。 しかし、甘さと香りが存在しなければ、決して、美味しいエスプレッソコーヒーは出来上がりません。 それが、ストレートで飲むエスプレッソコーヒーの人気が出ない理由だと説明されています。 エスプレッソコーヒーをベースとして、それにミルクやフレーバーを添加したコーヒードリンクに人気があるのは、コーヒー豆を深く焙煎することで失った甘味や香りを、ミルクやフレーバーを添加することで補っているからだと考えています。 170度〜200度で、コーヒーに含まれている糖のカラメル化が始まります。 焦がした砂糖よりも、焦がしていない砂糖の方が甘くなるのは明らかです。 コーヒー豆のダークカラー(褐色)は、コーヒー豆に含まれるスクロース(砂糖)のカラメル化反応も関係しています。 従って、甘味を最大化するには、スクロースのカラメル化を適正範囲内に抑える必要があります。 だけど、それほど軽く(浅く)焙煎することも、苦味化合物の発生を避けるために焙煎温度を下げる必要もありません。 1ハゼが終了してから2ハゼの途中(中間)くらいの間のどこかで、コーヒー豆の焙煎を終了すれば良いわけです。 2ハゼの途中(中間)以降のコーヒー豆の焙煎は、できれば控えるべきです。 205度〜215度の範囲でコーヒー豆の焙煎を終了して、コーヒー豆を釜から取り出すことをお勧めします。 現在のアメリカで、お金の稼げるコーヒー豆焙煎の主流となりつつある、このエスプレッソ向けコーヒー豆の焙煎方法ですが、エカワ珈琲店のコーヒー豆の焙煎方法に、何となくなのですが、少しだけ似ているような気もします。 もしかしたら、コーヒー豆の焙煎の世界でも、グローバル化が始まっているのかもしれません。 インターネットWEBを通じてなのですが、海外のコーヒー情報を積極的に収集している我がエカワ珈琲店が、何故、貧乏なコーヒー屋を続けているのか、我ながら不思議です。 ≪追記/2011年9月6日≫ 下の写真は、焙煎終了時の色の目安です。 (coffeeresearch.org/coffee roastingより) 【ネタ元】 coffeeresearch.org/coffee roasting 【EKAWA WEB/珈琲へのリンク】 焙煎/いろいろな焙煎方法 (原文) http://ekawa.hatenadiary.jp/entry/20110903/1315012390 |